「今こそ主の祈り」(牧師:下地博之)

ハレルヤ!お早うございます。
千年王国の足音が近づいています。
主の祈りの中には、千年王国の為に祈るようにとあります。
また、世界中が争い、憎しみ、自然災害、飢え、病の中にあります。
特にコロナウィルスが猛威を奮い、不安、怖れ、絶望の中にあります。
主の祈りは、「私たちの・・・して下さい。」と祈りなさいと教えています。
「私たち」の中に、家族や親族だけでなく世界中で苦しむ人々も入っているのです。
このような状況から「今こそ主の祈り」というタイトルをつけました。

1.何故、イエスは「主の祈り」を教えたのか。
(1) 「山上の垂訓」の文脈で
祈りの心得
マタイ6章5~8
5 また、祈るときには、偽善者たちのようであってはいけません。彼らは、人に見られたくて会堂や通りの四つ角に立って祈るのが好きだからです。まことに、あなたがたに告げます。彼らはすでに自分の報いを受け取っているのです。
6 あなたは、祈るときには自分の奥まった部屋に入りなさい。そして、戸をしめて、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。
7 また、祈るとき、異邦人のように同じことばを、ただくり返してはいけません。彼らはことば数が多ければ聞かれると思っているのです。
8 だから、彼らのまねをしてはいけません。あなたがたの父なる神は、あなたがたがお願いする先に、あなたがたに必要なものを知っておられるからです。

➀ここでイエスは、間違った祈りの姿勢(霊的)について教えている。
・偽善者のようにこれ見よがしに祈ってはいけない。
・異邦人のように同じ言葉のくり返しの祈りはいけない。
※自分の祈りの姿勢をチェックしてみよう。

(2) ユダヤ教の祈り(祈祷書の朗読)の文脈で。
ルカ11:1
「さて、イエスはある所で祈っておられた。その祈りが終わると、弟子のひとりが、イエスに言った。『主よ。ヨハネが弟子たちに教えたように、私たちにも祈りを教えてください。』」

  1. ユダヤ教の祈りは、祈祷書を朗読する。
  2. かつてユダヤ教徒であった弟子たちも、同様であったろう。
  3. しかしイエスの祈りは、ユダヤ教のそれとは違う祈りであった。その祈りは、父なる神との愛の交わりを土台とした祈りであった。ヨハネ(バプテスマの)の祈りも、心から湧き上がる祈りであったに違いない。
  4. それで、弟子たちは祈りを教えて下さいと願った。
  5. 主の祈りは、イエスが弟子たちに教えた祈りであり、「主イエスが教えた弟子たちの今こそ主の祈り」と表現したほうが正しい。
    「主の祈り」を暗記してそのまま祈るのは、 ユダヤ教の祈祷書と同じになる。
    しかし、「主の祈り」の構成、順序を理解した人が祈る場合は、そのまま祈っても正しい祈りである。
    ※ 主の祈りを捧げる時、あなたはその本質を理解して祈っていますか。
    祈祷書の朗読のような祈りになっていませんか。

2.主の祈りの本文と解釈
マタイ6章9~10
9 だから、こう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。
10 御国が来ますように。みこころが天で行われるように地でも行われますように。
9節 だから、こう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。

(1)「だから」は、マタイ6:5~8を受けている。
(2) 「天」は、ギリシャ語で「ouvrano,j(ウーラノス)」
(3) 「私たちの父よ。」とは、私もあなたも、天の父と親子関係にあることを示す。ハレルヤ!
ガラテヤ 4:6
「そして、あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。」

※かつて私が所属して教会では、「私たちの父よ」ではなく、「天のお父様、主イエス様、聖霊なる神様」と呼びかけていました。このような呼びかけは間違っています。注意しましょう。
(4) 「御名」には、神の全てが示されている。
即ち、ご性質(人格)、み業(天地創造、人間の創造、全ての力ある業など)を現されています。
➀私たちは、その人の名前を聞いたときには、その人格や行いを思い起こす。

10節 御国が来ますように。みこころが天で行われるように地でも行われますように。
(1) 「御国」はギリシャ語で「basilei,a(バシレイア) / 王国」
(2) 「御国」と9節の「天」(ouvrano,j / ウーラノス)」との比較。
➀「御国」はギリシャ語で「basilei,a(バシレイア) / 王国」
②「御国」と「天」は、別の意味があることがわかる。
(3) 王国の定義
➀王国には王がいる。
②王国には臣民がいる。
③王国には領土がある。
④そこでは、王が国を治めている。
⑤以上のことから、「御国」は「千年王国」と推測される。
(4) 「王国」を支配し、治める王は、イエス・キリスト。
➀「王国」とは王なるキリストが支配し治める国の事、即ち千年王国。
 ②10節は、千年王国の到来(完成)を祈り求めている。
(5) 「みこころ」は二種類あって、一つは確定した変更不可能な計画。
➀この「みこころ」に対しては、人間は全く介入できない。
②神の主権を示す。
(6) 二つ目は、神の私たちに望んでいること。
➀私たちは、千年王国に入ることが約束されている。しかし、それで「よっこらしょ。ここらで一休み」というわけにはいかない。
ミカ書6:8を見てみよう。
ミカ6:8
「主はあなたに告げられた。人よ。何が良いことなのか。【主】は何をあなたに求めておられるのか。それは、ただ公義を行い、誠実を愛し、へりくだってあなたの神とともに歩むことではないか。」

③しかし、人は必ずしも神の望んでいるような生き方はできず、失敗もある。
④それでも、神はすべてのことを働かせて益とする。
 ローマ8:28
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。」

(7) 「みこころが天で行われるように地でも行われますように」
➀この地のほとんどは、この世の君サタンの支配下にあります。
参照:「サタンの誘惑 マタイ4:1~11」 
②ですから、主の祈りは、真っ向からサタンに戦いを挑む祈りです。
③そして、この戦いは必ず勝利します。ハレルヤ!
④Ⅰヨハネ5:4~5
「4 なぜなら、神によって生まれた者はみな、世に勝つからです。私たちの信仰、これこそ、世に打ち勝った勝利です。5 世に勝つ者とはだれでしょう。イエスを神の御子と信じる者ではありませんか。」

⑤最終的には、主のみこころだけがなるのです。ハレルヤ!
ここまでが、天の父への呼びかけと、天の父のみこころを求める祈りです。

ここから11~13節
私たちの必要を求める祈りです。最後は、主に栄光を帰する祈りです。
11節 私たちの日ごとの糧をきょうもお与えください。
(1) 「日ごとの糧」とは霊的なもの即ちみことば。
➀9節、10節を見てみますと、天の父、天、御国の到来、神のみこころとすべて霊的な事。
②この文脈から、「日ごとの糧」とはみことばということになる。
(2) マタイ4章にあるサタンとの戦いでは、イエスは全てみことばで戦っている。
➀みことばは、地上生活における信者の食べ物であり、武器でもある。
(3) しかしながら、神は地上生活での必要をも満たして下さる。
①Ⅰヨハネ5:14~15
「14 何事でも神のみこころにかなう願いをするなら、神はその願いを聞いてくださるということ、これこそ神に対する私たちの確信です。15 私たちの願う事を神が聞いてくださると知れば、神に願ったその事は、すでにかなえられたと知るのです。」

12節 私たちの負いめをお赦しください。私たちも、私たちに負いめのある人たちを赦し
ました。
(1) 12節の解釈
➀12節の解釈には注意が必要です。
②そのまま読むと、私たちは罪を赦しましたから、私たちの罪をも赦して下さいととってしまいます。
③しかし、罪は恵みと信仰によって赦されるのです。人間の行いによるものではありません。(エペソ2:8~9)
④私たちの負いめをお赦し下さい。
⑤神は私たちの負いめを赦されました。
⑥それで、私たちも私たちに負いめある人たちを赦しました。
(2) 参照 ルカ11:4
「私たちの罪をお赦しください。私たちも私たちに負いめのある者をみな赦します。私たちを試みに会わせないでください。

13節 私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。』〔国と力と栄えは、とこしえにあなたのものだからです。アーメン。〕
(1) 二種類の試み ―サタンの試みと神の試みー
(2) サタンの試み。
➀これは、サタンが人々を神から引き離すためのもの。
②神への疑いをもたせる。(離間の計略 / 疑いを持たせ、信頼を失わせ、引き離す)
③マタイ4:3
 「 すると、試みる者(悪魔)が近づいて来て言った。『あなたが神の子なら、この石がパンになるように、命じなさい。』」
(3) 神の試み
申命記8:2~7
2 あなたの神、【主】が、この四十年の間、荒野であなたを歩ませられた全行程を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試み、あなたがその命令を守るかどうか、あなたの心のうちにあるものを知るためであった。3 それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は【主】の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。4 この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。5 あなたは、人がその子を訓練す
るように、あなたの神、【主】があなたを訓練されることを、知らなければならない。6あなたの神、【主】の命令を守って、その道に歩み、主を恐れなさい。7 あなたの神、【主】が、あなたを良い地に導き入れようとしておられるからである。

➀試みを通して、忍耐と神への従順を学ばせる。
②最初は、どうしてなのかと思うが、後には驚くべき恵みが待っている。
③約束のものを手に入れるのに必要なものは忍耐。
ヘブル 10:36
 「あなたがたが神のみこころを行って、約束のものを手に入れるために必要なのは忍耐です。」
 忍耐する者は神の子として成長し、キリストに似た者となる。

④ 詩篇119:71
 「苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。」

〔国と力と栄えは、とこしえにあなたのものだからです。アーメン。〕
(1)栄光を主に帰する祈り。主権は神にあり。
(2)神への賛美は、クリスチャンの特権。

まとめ
(1) 「主のいのり」は主が教えられた祈り。
(2) 「わずか数行の祈り」の中に「神のご計画の全体」を示している。
(3) 「主の祈り」を積分(拡げていく)すると「神のご計画の全体」となる。
(4) 「神のご計画の全体」微分(小さく分ける)すると「主の祈り」となる。
(5) 主の祈りの内容
➀天の神への礼拝。
②主のみこころ。⇒神のご計画の全体(使徒20章)
使徒20:25~27
25 皆さん。御国を宣べ伝えてあなたがたの中を巡回した私の顔を、あなたがたはもう二度と見ることがないことを、いま私は知っています。 26 ですから、私はきょうここで、あなたがたに宣言します。私は、すべての人たちが受けるさばきについて責任がありません。 27 私は、神のご計画の全体を、余すところなくあなたがたに知らせておいたからです。

③御国の到来。⇒ 千年王国
④地上における主のみこころ。
⑤主の祈りは個人的な祈りだけでなく、全体の祈り。
・神の国のため、教会のため、世界のため、国家のため、社会のため、自分の属する会社、組織のためにも祈ろう。
⑤地上でのサタンとの戦いに勝利。
⑥主権は神にあり、神は永遠なる神。
千年王国の足音が近づく今、全世界(病・コロナウィルス禍、戦争、飢饉、災害の中)
の人々が苦しむ中、「今こそ主の祈り」の時であることを実感します。
主の祈りは、祈りのアウトラインになっています。アウトラインをそのまま覚えて祈っても意味がありません。その本質を理解し、上記のことを心に留めて、自分のことばで祈
って行こうではありませんか。
ハレルヤ!
牧師 下地博之